ぐるりと一回り(360°)

少し前までは土肌が、自然釉の黄色と地肌の赤色、茶色だけの単調な焼けのものしか焼くことができませんでした。最近になって少しずつ、土肌に微妙な変化を出せるようになってきました。この徳利は、僕が思う備前焼の特徴のひとつの深い赤色が出ています。ふかふかの土から掘り出したばかりのさつまいものような鮮やかな色で、いい色だなと思う。現代の生活の中で、この色は必要ではないかもしれないけれど、薄暗い灯りの中で観る濡れた土肌は、美しいと思います。